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    2011.08.09 チラシに泣く
    ミツバチ
    暑中お見舞い申し上げます。
    前回のブログでタイトルにしているチラシの話をし忘れていました。

    実はこのチラシは私にとってはとてもとても感慨深いモノでして。
    この映画を見た時に、いつかこの映画を上映できればなーと漠然と心のどこかで
    思っていました。当時は映画館の人になるなんて、思っても見なかった事なので、
    着々と映画館を目指し、ようやく。。。というようなことではなく、
    偶然にも「映画館の人」にならないかとのお声がかかり、なっているわけで、
    なってみたのなら25年ほど前の漠然と思っていた「夢」をかなえることが
    出来るのではないかと。
    しかし、私の中では「大それた夢」であって、あの『ミツバチのささやき』を、
    いや、あの「傑作を世界からはこぶ バウ・シリーズ」を上映出来るなど、
    劇場オープンしても10年以上はかかるであろう夢であったわけです。
    それが、ラッキーと言おうか、配給会社さんのご好意と言おうか、
    上映出来ることになり、しかも劇場1周年記念で!
    なんという幸せであろうか。
    かつてこれほどの幸せが私の人生にあったであろうか。いや、ない。
    思い起こせば、昭和60年。。。。て、もうエエですか、そうですか。

    そしてとうとう。。。
    「傑作を世界からはこぶ バウ・シリーズ」のあのチラシに!
    『ミツバチのささやき』と『エル・スール』のあのチラシに!
    ビクトル・エリセさんの名前の入ったあのチラシに!なんと!
    も、も、もも元町映画館の!
    モトマチセレクションのロゴがぁーーー==(T_T)(ダー)←滝のように涙が流れる音。
    しかもサブ・タイトルが「支配人の映画人生を変えた監督、ビクトル・エリセ」て
    (T_T)(ダー)←滝のように涙が流れる音。

    失礼しました。取り乱してしまいました。映画好きならこの状況お解り頂けると。
    言うなればそれは、例えば「蒼井憂さんと1日デートできる権」よりも私には
    嬉しいわけで(何だか良くわかりませんが)
    正直、もうこれで映画人生思い残す事はありません。というぐらいの出来事です。
    いや、あとはお客さんがいっぱい入ってもらって、喜んでいただければ本望です。

    映画の中身の事を少し。
    この映画に出て来る大人たちには、それぞれ陰がある。ウラに多くの話しが
    用意されている感じだ。おそらくその説明だけでも個々に映画が出来るだろう。
    しかし描き方は曖昧だ。説明はしない。
    一方主人公アナの描写には細かい。静かに寄り添ってまるでアナの内面に入って行く。
    映像は俯瞰する。しかし映画自体は俯瞰しない。
    アナの心の中から見た、感じた、ことを静かに物語るのだ。
    もちろんアナが饒舌にしゃべるわけではなく、饒舌にしゃべるのはアナの「目」だ。
    セリフではなく、表情や行動だけですべてを物語る。

    この映画の好きなシーンはあり過ぎるぐらいたくさんあるが、
    原野にぽつんとある納屋に初めて二人で行くシーンが特に好きだ。
    フランケンシュタインを見たアナがイザベルねーちゃんに
    「なぜ怪物は殺されたの?」と聞く。
    おねーちゃんは「死んでないの。彼は怪物じゃなくて精霊よ」
    そして「会える場所を知ってるわよ」と「わたしはアナですと言えばいつでも
    会えるのよ」そして翌日、「あそこよ」丘の上から指差した先には、
    見渡す限りの原野にぽつんとたたずむ小さな納屋。
    そこに向かって一気に走り出す二人。
    (↑今日のアップ画像はその納屋に着いたところです)

    納屋の前に到着。
    おねーちゃんが先に行って、井戸とか覗いたりしているが、アナは少し
    離れたところからじーっとおねーちゃんを見ている。
    出入口が2つある納屋の右の入口からおねーちゃんはとうとう中に入って
    しまったが、アナは怖くて行けない。少し離れた所でじーっと固まったままだ。
    しばらくしてから左の出口からおねーちゃんが出て来る。
    出て来た瞬間、アナはおねーちゃんめがけて走り出す。。。というシーン。

    このアナの後ろ姿だけで、感情が伝わって来る。
    おねーちゃんが出て来なかったらどうしようとか、怪物を連れてでてきたら
    どうしようとか、おねーちゃんが怪物に殺されていたらどうしようとか。
    しかし何事も無く左から出て来た瞬間に「よかったー」という安堵の気持ちで
    走り寄る。
    ちなみに私事ですみませんが、私には5歳年上の兄がいるが、どこか知らない
    怖い所へ行く時には、いつもこんなやり取りをしていたように思う。
    これこそは大人目線ではなく、子供の目線である。
    セリフは一つもない。セリフはなくても子供の感情が溢れ出す。
    一挙一動が饒舌に語りだす。
    この「間(ま)」だけでいっぱいアナは考えているように観客は思う。

    この納屋の存在は、イザベルおねーちゃんはただ嘘を言っただけで、
    彼女には単に建物でしかない。しかしアナには境い目というか、越える事の
    出来る、怪物(=精霊)と会える、淵というか縁のような場所なのだ。
    それは、信じているイザベルおねーちゃんに教えてもらった場所だから特に
    秘密の場所なのだ。
    そして、ある日アナは秘密の場所でとうとう彼に会うのだった。。。
    と、映画の中身の話をすれば、止まらなくなるので、続きは劇場で。

    やはり、名作は何度見ても良いものです。暗い画面は特に、デジタルでは
    味わえない暗闇にかすかに見える光が美しいです。
    DVDを持っている方も、是非35ミリのフィルムで見てみて下さい。
    何故私たちがそれほど言うのかが解ると思います。
    元町映画館の環境は決して良い環境とは言えませんが、
    この映画を上映する為に、高価なヨーロッパビスタのレンズを買いました。
    少しでもお客様に、フィルムの素晴らしさを解ってもらおうと購入しました。
    これは「体験」であって、芸術であって、お金ではないのです。
    こんなに安くで優れた芸術作品を「体験」出来るのです。
    とにかく体験して頂けると嬉しいです。本望です。

    えらそうな事を長々と(いつも長くてごめんなさい!)失礼いたしました。
    劇場で皆さんにお会い出来ることを楽しみに。。。
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