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    2011.06.20 映画館の幸せ
    びわ
    先週までの上映で終わってしまいましたが、
    モトマチセレクションvol.4『原発の「安全神話」を考える』で
    『ナージャの村』と『祝の島』を上映しました。
    たくさんの方々にお越し下さいましてありがとうございました。
    というより、何よりこの映画を「体験」して頂いたことをとても嬉しく思います。
    さらに、お家でDVDではなく、皆さんでご一緒に、この元町映画館で体験して頂いた
    ことをとても幸せに思います。何十名様は恐らく私と同じように、一緒に笑って、
    泣いて、怒って、そして最後に泣いてくれたと思います。
    映画館は、そういう場であり続けるから良いのだと私は思います。

    『ナージャの村』はチェルノブイリの近所のベラルーシの村の話です。
    電気などほとんど使っていない生(なま)の生活をしている村です。
    遥か昔からあまり変わらない生活なんでしょうね。
    そんな所に原発なんて無縁のものなのに、事故の後、強制的に村を出ろと
    言われても。。。と残っている村人の、いや、主人公は「村」そのものなのかも。
    その、日々の生活の中では、人の命も、ジャガイモも、村の四季も、ヤギも、
    リンゴの木も、総て同じ重さで、時間がただゆっくりと流れているだけのように思います。
    「核の犠牲者」とかそんなチンケな言葉では語り尽くせない命の営みの大きさを想います。

    『祝の島』は山口県の瀬戸内海に浮かぶ小さな「祝島」のお話しです。
    少し東の対岸に原発の予定地になっている所があり、その建設工事に20年以上も反対
    し続けている島民のお話です。この映画に登場する島民たちは声高に反対運動をして
    いますが、日々の暮らしは『ナージャの村』と変わらず、昔からの営みである、
    漁業や農業が生活の大半を占める静かな村です。
    祖父が崖の荒れ地に開墾した棚田を今でも守っているお爺さんの一言が胸に滲みます。
    「子供に繋ぎ、孫に繋ぎ、そして繋がれなくなったら元の荒れ野に戻るだけだ。
    それでいい。」1000年の営みは、そうそう容易く崩れないのだ。
    そして、夫を亡くしても楽しそうに墓参りするお婆ちゃんは「寂しいか?」と訊かれた
    時に大笑いしながらこう言った「後家楽。後家楽。(ごけらく。ごけらく)」

    私はこの2本の映画を見ると、全く同じように泣けて来ます。
    それは、悲しくてという感じでもなく、どちらかと言えば、 愛おしくて泣けて来ます。
    そして良く冷静に考えると、悲しくなり泣いてしまいます。

    今日の添付画像は祝島の名産品の一つビワです。
    元町映画館の近所のお店で働いている方から戴きました。
    『祝の島』を上映してくれたお礼にということでした。
    映画の中に出て来るおばあさんのお孫さんらしく、彼女もお祭りに帰ってくる親戚の
    子供達として映画にちらっと出てきていました。
    「元町映画館で映画を観たよ」と言ったら「それじゃあみなさんで食べてもらいなさい」
    と、ビワを送ってくれたそうです。
    こういう時こそ映画館をやっていて良かったと思いますよねー。
    喜んで頂けるととても幸せです。
    とても瑞々しくて美味しいビワでした。うまうま。
    ありがとう。おばあさん。ありがとう祝島。いつまでも祝島を守り続けて下さい。

    人は生きて、死ぬ。
    祝島は今日も原発予定地から朝日が昇っているのです。
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